人工知能のIQは当然人類をはるかに凌駕する

人類は知性を重要視し、それが「高い」が故に他の生物を自らに壁を作ってきました。だからこそ、一定の知性を持つ哺乳類を家畜として使役し、時には屠殺して食料としています。彼らも知性を持っていますが、それが人間に及ばないからこその判断でしょう。なお、定義によっては植物も「知性」を持っていますが、多くは無視されて踏みつぶされ粉砕され、そして人間に食べられています。

そんなことが出来る要因は、人間が「万物の長者」であると理解しているからこそでしょう。最も、人間の尺度で知能(例えば、IQ)を測定した場合は当然他の生物の追随を許しません。イルカやタコなどの高等な知能を持つ動物にしても、成人のそれには遠く及びません。

一方で、そんな人間が知性において「万物の長者」でなくなる時は来るのでしょうか? その答えは簡単で、「余裕で来ます」という回答になります。いまはよちよち歩きのAIかもしれませんが、その進歩速度は加速度的です。実際、2016年から2018年にかけてAIのIQは(人間には劣るものの)約2倍もの賢さになっています。

実際、演算能力では人間を既に完全に凌駕していますし、読解能力もほぼ追いつきつつあります。そういう意味では、直接的にIQテストを攻略できるとは言いませんが、一部では完全に人間に追いつき、追い越しています。将来的には紙とペンをロボットアームに持ち、ペーパーテストでも余裕で全人類を上回ってくると想像することは難しくありません。

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自動的に生成された説明

なお、あるAIの研究者は「コンピュータにはIQはあるか?」という問いに対して「IQテストのいくつかはAIの研究目標として役立つ。しかし、そもそも知能指数は子供の知能の発育の度合いを基にしているので、IQテストが高いコンピュータが役に立つとは言えない」という旨の回答をしています。しかしこれも言い換えれば、「ある特定の領域では完全に人間を上回る(ことになるだろう)」という解釈もできます。

ちなみに、ソフトバンクグループの孫正義は、2015年時点で「あと30年でコンピュータのIQは1万になる」と予想しており、その世界を「きっと素晴らしいものになる」と語っています。また別の機会には、「人間の脳の神経細胞の数は300億個。2018年には、コンピュータチップの中にあるトランジスタの数がそれを越え、さらに30年後にはその数は100万倍になる。コンピュータのIQが10,000まで達する“超知性”が誕生し、シンギュラリティの時代が確実に訪れる」とも述べています。

いずれにせよ、確実に機械が人間の知性を上回る日が来ますが、その時も我々は同じように他の生物を捕食するでしょう。しかし、そこには以前の王者の姿はありません。唯一絶対の立場が失われてしまったからです。そうすると、人間も唯一王ではなく「その他大勢のそこそこの知性を持つ生物」であり、動植物との境目がなくなります。そこで、例えば「IQ70」を敷居としてクジラやタコと我々の線引きを引いて「捕食、OK!」と構えてしまったらさあ大変。IQ70に満たない人間は大勢います。その方たちの処遇はどうなるのでしょうね? ……少し考えすぎかもしれませんが。

【参考】

1. 「WHAT IS ARTIFICIAL INTELLIGENCE?」(http://www-formal.stanford.edu/jmc/whatisai/whatisai.html)
2. 「30年後、コンピュータのIQは1万になる、ソフトバンクの孫社長が特別講義」(https://ure.pia.co.jp/articles/-/47112)
3. 「共に切り拓こう! 孫代表が学生に語った「超知性の時代」とは?」(https://www.softbank.jp/sbnews/entry/20170427_01)
4. 「Intelligence Quotient and Intelligence Grade of Artificial Intelligence」(https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/1709/1709.10242.pdf)