長男長女はIQが高くなる傾向にある

「Explaining the Relation Between Birth Order and Intelligence」という研究には、「先に誕生した子供ほどIQが高い傾向にある」と結論があります。

  • 1967年からの10年間に第1子を産んだ母親を22年以上追跡
  • その間に誕生した約58万人のうち、徴兵に伴う検査からIQを分析できる18、19歳の男性約24万人を対象に、誕生順、親の年齢や学歴などを調査
  • 結果、第1子の平均IQは103.2と最も高く、第2子は101.2、第3子は100.0と徐々に低くなった

さて、この理由としては何が考えられるでしょうか。

一つは、教育リソースの問題があります。長男(この研究では、男性のみに限定して研究している)はそれ以降に誕生した子供よりもより早い段階で教育を受けられるため、その際には資金的な制限要因は限定されません。一人っ子なら、無論資金面での問題が発生する確率は低くなります。もちろん長男が就職して次男・三男の進学の面倒を見る……という涙ぐましい物語も想像はできますが、その夢物語が発生する確率はそこまでは高くないでしょう。また、両親の指導時間という時間的制限要因も長男から順に問題が出てくることは言うまでもありません。他に子供がいなければ両親の時間的教育リソースを長兄は一心に受けられます。

そして相乗効果として、リソースを多く投入された長兄は当然IQ高く育ち、それ以降の子供はそれを見て劣等感を味わい、それが成長に大きく影響する、かもしれません。

果たして、上記の研究では定量・定性的評価として以下のように結んでいます。

  • 第2子として誕生しても兄または姉が死亡している場合には102.9に達した。第3子でも上の2人が死亡した場合には102.6に上昇し、いずれも第1子の平均値に近接
  • 幼児期に兄や姉が死亡し最年長児として育てられた場合にも、年下の兄弟より高くなっている。単なる誕生順ではなく、家庭内での位置づけが大きな要因になっている可能性がある
  • 調査した教授は「親が、次の子供が誕生するまで、最年長児に最大限の注意を注いでいる効果だろう」と語った。一方、米国の専門家はサイエンス誌に「年長の子供は家庭教師役

を務めることが多いためではないか」とコメント

やはり、リソースの問題が大きいのではないかという示唆が強いです。「遺伝的に長兄が優れている」という考え方もできなくはありませんが、論理的には少し怪しい。可能性があるとすれば、高齢出産では子が何かしらの障害を抱える可能性が高くなる傾向にあるため、それと似たような解釈で知的に劣る子が、二人目以降では(その差が僅かであっても)発生するかもしれない、というところでしょうか。やはり少し苦しいですね。

【参考】

1. 「Explaining the Relation Between Birth Order and Intelligence」(https://science.sciencemag.org/content/316/5832/1717.full)