色覚異常の人や帰国子女のIQは上手く測れないかもしれない

IQテスト(知能検査、知能テスト)は万能ではないということはご存じでしょうか? 現在日本で実施される「ちゃんとした」IQテストは、ウェクスラー式知能検査がほとんどです。その「ちゃんとした」テストというのはそれなり(数千~数万円)のお金を払って病院などで医師や心理士監修のもと検査する、というもので、結果はかなり妥当なものかと考えられています。その結果をもとに医療行為などを実施することもあるほどです。なお、「ちゃんとしてない」テスト、例えばネットの無料診断などはこれに当てはまりません。

さて、本題に戻るとそのようなIQテストでさえも万能ではない、言い換えれば「ちゃんと測れない場合がある」ということは覚えておくべきでしょう。

第一に、回答する側にやる気がない場合には、知能に見合ったIQの結果は当然出ません。これは例えば、子どもが嫌々連れて来られて数時間も検査に時間を要した際などに見られます。これについては、そこまで解説は不要でしょう。

第二に、受験者が何かしらの色覚異常を抱えていた場合に、本来発揮できるはずのIQよりも低い値になってしまう可能性についても、ここでは指摘しておきます。知能テストは複数のテストの組み合わせで構成されており、その中では「法則性」や「ルール」をすぐに解釈し、それを適用する、という問題もあります。簡単に言えば、以下のような問題です。

カラーな問題です。無論、試験を監督してくれる人はそのあたりを考慮してくれるかもしれませんが、なかなかどうして越え難い壁というものがあります。と言うのも、色覚異常の方は健常者が想定する以上に慎重に丁寧に色について判断しています。上記の場合は、健常者なら何気なく「赤」と「青」と判断するところを、色覚異常の方は丁寧に「オレンジに緑の枠がある……オレンジというより、朱色?」「外枠は比較的濃い青色、内側は濃い水色」などと細分化して考慮する(人もいる)ということです。これは大きなハンディであると言えます。

第三に、帰国子女について。そもそも日本語話者ではない場合はその言語を母語とする国などでIQの検査をすればよいでしょう。しかし、帰国子女の場合は日本語も「多少」喋れるということで、おそらく日本では日本の検査を受けざるを得ません。上記のような図形チックな課題なら、特段受験において問題は発生しないでしょう。しかし、前述の通りIQ検査は複数のテストの組み合わせであり、その中では言語能力を評価するものもあります。そして特に児童の場合では、帰国子女は「日本語に触れていた回数」が同年代の他の自動よりもそもそも圧倒的に少ないため、かなり苦しいハンディを背負わざるを得ず、なかなか言語性IQとして、彼ら彼女らが本来的に持っている能力を発揮できるとは言い難いでしょう。実際に、「バイリンガル教育が一因と考えられた言語発達遅滞例」という研究では、それに近い事例が確認されています。

つまるところ、IQテストは一般にはそれなりに正しく測定はできるが、例外もあるのでそこをゆめゆめお忘れなきよう、ということです。

【参考】

1. 「別冊:色盲とIQ。色が絡むとIQ(判断力?)が著しく下がる。」(https://lscharlie.exblog.jp/24459153/)
2. 「バイリンガル教育が一因と考えられた言語発達遅滞例」(http://www.akita.med.or.jp/school-44/files/ppt04_04.pdf)
3. 「ONE CARRER」(https://www.onecareer.jp/articles/819)