IQが高い人は友達が少なく、IQが低い人は友達が多いのか?

友達が多い人というのはどういった人でしょうか。例えば、地元に密着した生活を送っている人はそれなりに友達が多いかもしれません。都会ではマンションの隣に住んでいる人がどんな人かも分かりませんが、田舎では町内会やお祭りなどが機能しており、必然的に関わらざるを得ない状況が発生しています。そうなると、都会よりも友達(?)が多いと言えるかもしれません。所謂、マイルドヤンキーと言われる層は地元の友人と強い結びつきを持っています。

実は、一つの傾向として知能の高いほど友達付き合いを好まないことが報告されています。

英国の進化心理学者Satoshi KanazawaとNorman Liが、2016年にそういった結論をもつ論文を発表しています。その結論は「多くの人々の幸福は、人口密度の減少と反比例して増加する」が、一方で、「極めて知能が高い人は、友人といっしょにいないときのほうが幸福」ということを示唆しています。

その研究は、「幸福のサバンナ理論」を軸に展開されています。祖先である狩猟採集民のライフスタイルこそが、私たちを今幸せにするものの基礎を形成している理論づけており、「先祖の環境で私たちの先祖の人生の満足度を高めたであろう状況は、今日でも私たちの人生の満足度を高めるかもしれません」と研究者は考えています。

研究では、18〜28歳の成人15,000人規模を対象と、人口密度とIQ、そして幸福度などの関係を調査しました。その結果、まず人口密度の高い地域に住む人々は、生活全体に対する満足度が低いと報告する傾向があることがわかりました。そして、親しい友人との社会的交流が多ければ多いほど、自己申告による幸福が大きくなることも明らかになりました。

しかし、知的な人々にとって、その「親しい友人との交流」と「幸福度」の関係性があてはまらなかったのです。その相関関係は傾きが減少するか、あるいは逆転さえしました。結果では、人口密度が生活満足度に及ぼす影響が、IQの高い人よりもIQの人の方が2倍以上大きかったことが示されました。

丘の上にいる電車

低い精度で自動的に生成された説明

つまり、どちらかというとIQの高い人は孤独を好むことが示されたのです。

もちろん、例外はあるでしょう。例えば知的な人の趣味が庭先でバーベキューをして友人を招くことであってもなんらおかしなことはありませんし、あるいはIQが低い人の趣味が一人でできるゲームや読書だったとしても、そういうことはもちろんあるでしょう。

ただこの結果は、バカ騒ぎをしている人たちがどういった知的能力を持っているかを我々に推察させ、過去の経験と照らして「なるほどな」と思う程度には十分なインパクトを持ちそうです。

【参考】

1. 「Country roads, take me home… to my friends: How intelligence, population density, and friendship affect modern happiness」
(https://bpspsychub.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bjop.12181)