高いIQの持ち主は純粋な心の持ち主でもある

IQが高い人と言えば、どのようなイメージを持つでしょうか? 非常にジェントルで、精神的に大人な人。あるいは非常に狡猾で、人の弱みを直ぐ見つけて優位に立つ人。イメージで言えば、前者が映画の賢い主人公、後者が映画の悪役(ヴィラン)。さて、どちらが正しいでしょうか?

正解は、「IQが高い人ほど人を信じやすい」人。オックスフォード大学の「Generalized Trust and Intelligence in the United States」という研究では、以下の事実が明らかになっています。

  • オックスフォード大学は全米世論調査センターが収集する「総合的社会調査(GSS)」のデータを分析し被験者を選出。一般的信頼と知性の関連性を見るため、被験者は知能検査(IQテスト)を実施し、そして自身の行動や社会的態度に関する質問をした
  • そして、頭の良い人ほど他人を信じやすく、逆にあまり頭の良くない人ほど他人を信用しないという結果を獲得。なおこの結果は配偶者の有無、教育、収入に依存せず、知力の高さにのみ依存した

要すれば、IQが高い人は人を信じる傾向が高い、ということです。逆に言えば、IQが高くない人もそのような「人を信じる」行動をすればIQが高い人と同じようなリターンを獲得できるのでしょうか?

ところが、残念ながらそれは難しいようです。上記の結果を受け、研究者は「知能が高い人は、他人の言動を観察することでその性格を見極める能力が高い。そのため、裏切らない人を見極めることができる。そのため周囲には信頼のおける人が必然的に集まっている」とその特徴の要因を分析しています。そして、「知能レベルの低い人は、人を見抜くことができないので、やみくもに心を閉ざしてしまうかもしれない(=人を信用しないかもしれない)」と述べています。

つまり、IQが高い人は優秀であるが故に、「疑う必要が無い人」が周囲にいるということです。逆に言えば、IQが低い人が盲目的に周囲を信じていると、ただカモにされるだけ、ということです。

研究者は最後に「他人の人間性を深く理解し、そしてそれを見抜くという力は、自然淘汰によって進化した人間の知性一部である」と語っています。自然淘汰と考えると、IQが高い人(集団)はどんどん人を信じる純粋な心を培い、逆にそうでない集団はどんどん猜疑心にまみれることになります。残念ですが、知力が高くないという自覚がある人は、人に騙されないように自己防衛に励むしかなさそうですね。

【参考】

1. 「Generalized Trust and Intelligence in the United States」(https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0091786)