宗教にすがってしまうひとはIQが高いとは言えないかもしれない

もしあなたの友人あるいは親族が宗教に傾倒したらどう思うでしょうか。「すがるものができてよかったね」と手放しに喜ぶ人は、現代日本では少数派かもしれません。おそらく多くの人が、「ああ……」と声にならない声を上げたあとに、「どうして?」と訪ねる(あるいは、自問・自責する)かもしれません。

その一つの原因として、無宗教論者の人は感覚的に「宗教にハマってしまう人は何か知能に欠陥がある(あるいは、欠陥が生じた)」と判断してしまうからでしょう。

そして、その裏付けは実はいくつかの研究によって示されています。もっとも、この研究が正しいかどうかは各自の判断が必要で、またこの研究結果の解釈も慎重を期すべきでしょう。なぜなら、そのデータのサンプルや統計処理が恣意的であったかどうかも、どんな研究に対しても疑問が残りますし、またその解釈においては個人の信条は当然入り込む余地があるためです。

「IQ By Religion」というそのものズバりな研究には詳細なデータと共に、各宗教の信者別のIQというSensitiveなデータが記録されています。

衝撃的なデータかもしれません。しかし、これには注意が必要です。

というのも、まずはIQ測定法についてです。これは、西欧式の教育を受けた国(無神論者が多い日本もそのうちの一つです)に比較的に有利な測定方式になっており、西欧的視点の「未開の地」の住民のそれを測定するには、不完全な可能性があります。

加えて、「宗教に傾倒している人」が果たして、「宗教に傾倒しているから(この調査結果上での)IQが低い」のか、あるいは「IQが低いから宗教に傾倒しているのか」ということが分かりません。鶏が先か卵が先か、という問題によく似ていますが、それと同じくここでは結論は出せません。

一方で、この研究結果を補佐するような情報もあります。

イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の進化心理学者のサトシ・カナザワ氏は、独自の研究によって以下の結論を導いています。

  • 絵を使ったボキャブラリー・テストに参加した13~19才の若者のIQを測定し、7年後に同じ被験者に対して各自の宗教観と政治思想に関する質問を実施
  • 結果、7年後に「まったく宗教心がない」かつ「非常にリベラル」と回答した人は、「非常に宗教心がある」かつ「非常に保守的」と回答した人に比べて、10代のころのIQが高いことがわかった

上記の研究結果にもいくつかの反対意見があるのですが、ここでは紹介しません。ここで言えるのは、「もしかするとそういった傾向があるかもしれないが、ここでは結論は出せない。そして、IQの高低は人間の根底的価値を左右するものではない」ということのみです。

【参考】

1. 「IQ By Religion」
(http://www.takeourworldback.com/IQ-by-religion.htm)(

2. 「NATIONAL GEOGRAPHIC リベラル志向や無神論は進化の結果?」(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/2401/)