時折メディアにおいて「○○さんのIQは△△! 高すぎる!」というタイトル記事が散見されます。例えば、以下のような記事がそれに相当します。
「ロザン宇治原、IQ158以上で測定不能」(デイリー:リンクは文末に記載)
別に宇治原氏のIQが158以上でも構わないのです、フェアな考え方を採用すると、測定方法などを明記するべきでしょう。実際はどうか分かりませんが、もしかすると宇治原氏が受験した試験はキャッテル式(キャッテルCFIT)と呼ばれる検査方法が用いられているかもしれません。
現在日本で最も多く流通している知能検査の方法は、WAIS(ウェクスラー成人知能検査)と呼ばれる検査方式です。キャッテル式との差分についてはここでは深くは言及しませんが、IQの算出方法について大きく異なる点があることだけ指摘しておきます。
キャッテル式は「標準偏差24」、WAIS式は「標準偏差15」で測定されています。
「どこかで聞いたことがあるような気がするが、標準偏差とはなんだったか」と思われる方に簡単に説明をすると、標準偏差とは「大きいほど、対象のデータに数値的な散らばりが多いこと」、もっと簡単に言えば、例えばテストにおいては「標準偏差が大きければ大きいほど、トップの測定結果は傑出し、最下位の測定結果は劣って見える」ということになります。
標準偏差についてより細かい話をすると、例えば「標準偏差は対象データの値と平均との間にある差を2乗したものを合計し、データの総数で割った正の平方根から求める」としてもよいのですが、この記事の論旨から外れるので割愛します。詳細は他のサイトや書籍を参考にしてください。この記事の末尾に、その詳細について記載されているリンクを掲載しておきます。
さて、本題に戻りますと宇治原氏がIQを測定したのはMENSAの入会試験でありますが、もしかするとキャッテル式の標準偏差で出された値かもしれません。それを標準偏差15のウェクスラー式に変換すると136以上ということになります。どうでしょうか、156と言われると隔世の感がありましたが、136と言われると「ちょっとだけ賢い人かな」と思わなくもない、かもしれません。しかしそんな感想を抱かれてはメディアも面白くもないので、あえて世間一般――この場合、例えば知的障害やその他の検査に用いるWAISを世間一般とする――ではないキャッテル式の数値をそのまま記載し、WAISとは異なりますよということあえてアピールすることはしません。当然です。
なお、宇治原氏が獲得しているIQ156(以上)という数値は、標準偏差が仮に24であったとしても全人口の1%を切るほどの希少性ですので、彼のIQが文句なしに高いということは間違いありません。無論、標準偏差が15の方式で検査しているかもしれませんが、こればかりは真相を知っている方に聞いてみなければ答えは出ないでしょうね。
【参考】
1. 「ロザン宇治原、IQ158以上で測定不能」(https://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2016/06/14/0009184561.shtml)
2. 「標準偏差とは?標準偏差の意味や求め方、求める理由について詳しく解説します」(https://kotodori.jp/analytics/what-is-standard-deviation/)