「犯罪者にはIQが低い人が多い」のは事実で、これは法務省のデータなどから明らかになっていますが。しかしもちろん例外はいます。日本でも、証券取引法違反容疑などで逮捕・収監されていた堀江貴文氏(通称、ホリエモン)などはその筆頭格と言えるでしょう。
彼が詐欺師かどうかという議論はさておき、世界的に有名なIQが高い犯罪者、言葉を選ばずに言えば「超一流の詐欺師」を2人紹介致します。
一人目は、フランク・ウィリアム・アバグネイル, ジュニア。IQは140とされており、レオナルド・ディカプリオ主演の「Catch Me If You Can」は彼の物語がベースになっています。
彼は詐取した金額こそ突出してはいないものの、16歳という若さで活動を始めたことと、手口の大胆さ・鮮やかさで著名な詐欺師です。まず初めに父親のクレジットカードで物品を購入、それを返品して現金を獲得するというところから詐欺師としての活動を始め、その後
残高のない自分の口座の小切手を書く複数の銀行への信用詐欺、そして映画でもあったように数々の身分詐称を繰り返します。それも煌びやかなものばかりで、順を追えば航空機パイロット(250回以上の登場)、教員助手、医師、弁護士(実際に司法試験に合格)、そして1度目の逮捕を挟んで逃走、再逮捕に至りました。つまり、件の映画「Catch Me If You Can」はなかなか史実に則ったエンターテイメントということになります。
そして2人目。上述のアバグネイルが「最も有名な知能犯」とすると、こちらは「最もIQが高かった知能犯」かもしれません。その名はフェルディナンド・ウォルド・デマラJr。IQは200以上あったとも言われますが、その真偽のほどは不明。高かったということは確かなようです。
その詐欺の遍歴は、まず手始めに別人になりすまし(当時のアメリカでは、州をまたぐと出生と死亡した場所が違えば、死亡は確認されなかった)高校卒業の資格を手に入れ、海軍士官に合格、そして優秀な成績で卒業。ところが優秀が故に身辺調査をされた結果、経歴詐称が発覚し、6年間も軍刑務所へ送られました。しかしそこでも模範囚だった彼は刑務所で会ったカウンセラーから着想を得て(またも別人になりすまし)、カウンセラーの資格を入手、 別の州の刑務所に勤務。カウンセラーとしては大変好評だったものの、刑務所に収監された囚人の中にかつての刑務所仲間がやってきたため別の州に移動。その後、土木業、弁護士、セールスマン、大学教授(一夜漬けで専門書の暗記などを実践)など職業を転々としました。
そして朝鮮戦争が勃発した折に軍医になりすまし、ここでも(一夜漬けで)虫歯の治療に成功、その後重症患者(弾丸摘出)にも成功、19名もの兵士たちの命を救いました。しかしこれが仇となり、成りすました「元」の医師にも知れ渡りお役御免。なお、兵士達からは感謝する声の方が多く被害届は出されなかったため、事実上の無罪判決でした。その後、(またも身分を詐称し)小学校の教員となり、最後は牧師として生涯を終えました。
この二人に共通するのは、「思い付きを実行する能力」「身分を詐称する胆力」と「詐称した身分でも業務を全う出来る知能」ですね。むしろ、この3つが揃っていれば実社会でも成功を収められたはずではと考えるのは、IQが低い我々の発想なのでしょうか……。