独特のIQテスト「ビジュアルモーションテスト」を受けてみよう

現在世の中に出回っているテストは、WAIS系など医学的根拠のあるテストと、そうでないテストに二分されます。その多くは、例えばよく見る図形処理などの設問に一部フォーカスしてあります。

しかし、この「ビジュアルモーション」テストは全く新しい形式のテストです。その形式とは、ある種の動画において「白黒の線が右に動いているのか、左に動いているのかを見極める」だけでIQが測定できます。

当該の動画では、まず練習から始まります。画面上に小さな円形の枠に入った白黒の縞模様の線が現れますので、それが右に動いているのか左に動いているのかを見極めましょう。なお、最初の図形は右に動いています。

黒い背景と白い文字

中程度の精度で自動的に生成された説明

次に、大きな円形の枠に白黒の線が表示されます。これも同様に判断すると、正解は左になります。

そこからが本番で、小さな円形の枠に入った縞模様と、大きな円形に入った縞模様がランダムで表示されるので、それらが左右どちらに動いているかを判断します。これだけでIQが測定できるそうです。

オルガン, カーテン が含まれている画像

自動的に生成された説明

この全く新しいIQテストは、ロチェスター大学の研究者によって作成されました。画面ではさまざまなサイズで図形が提示され、研究者は参加者が動きの方向を知覚できるようにするために必要な時間を測定します。 ここのミソは、脳は背景の動きをフィルターで除去するため、ほとんどの人が大きな画像で動きを確認するのは実際には困難であるということです。

実は、「全てに回答できる」ことがIQを高いことを示すわけではないということです。このテストでは、IQが高い人は「大きな画像の動きを見る」ことを苦手としていることがその論拠にあります。言い換えれば、「気が散る感覚信号を除去する」ことをスキルとして持っているため、大きい波を認識できないのです。研究結果によると、脳は膨大な量の情報を処理するため、無関係な情報(ここでは、背景となるもの)を抑圧する能力をIQが高い人は持っています。それにより、このような画像処理に制約を受けるとのことです。

実際に論文でも、「高IQの持ち主は小さな動く物体をすばやく認識できるが、刺激のサイズが大きくなるとうまくいかない。(中略)関連性のある情報を迅速に処理する能力は、感覚的識別と知能の両方を根本的に制約する」と述べています。

要すれば、上記のテストで大きな画像の縞の動きを「把握することができれば」IQが低く、「把握に失敗した場合」IQは高いということになります。なので、被験者には高いモチベーションを持ってテストに臨んでもらう必要があるという点で、通常のテストより扱いが難しいですね。なぜなら、目を瞑っていれば(あるいは、ずっと不貞腐れていれば)高いIQの持ち主ということになってしまうので。

【参考】

1. 「Testing Your “Motion Quotient”」
(https://www.youtube.com/watch?v=qxt2Uo_GuXI)
2. 「A Strong Interactive Link between Sensory Discriminations and Intelligence
(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982213004946)