WAISと呼ばれる代表的なIQテストの仕組みと構成を簡単に解説

知能検査にはネットで出来る簡易的なものと、そうでない病院含む専門機関などで受験するものがあります。今回は、その代表例であるWAIS-IIIについてご紹介します。

この試験は、正式にはWechsler Adult Intelligence Scale-Third Edition、略称 WAIS-III(ウェイス・スリー)と呼び、日本ではWAIS-III成人知能検査として広く知られています。名前にⅢとある通り、ウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale、略称WAIS、ウェイス)の第Ⅲ版という位置づけになります。なお、最初のものは1939年のウェクスラー・ベルビュー知能検査になります。Ⅲ含むウェクスラー式知能検査では、「言語性IQ」「動作性IQ」「合成得点による全検査IQ」の3つのIQを得ることができます。全検査IQは、言語性検査と動作性検査から構成されており、そしてWAIS-IIIは、7言語性検査と7動作性検査の、計14下位検査から成っています。なお、2018年には最新のWAIS-IVが出版されました。

この検査の適用年齢は、WAIS-IIIの適用年齢は16歳から89歳のため、16歳以下の受検者にはWechsler Intelligence Scale for Children (WISC, 7-16歳)などが推奨されます。

知能検査の目的は、知能指数(IQ)を測定することにあります。一方で、おおむね多くの場合(メンサ会員になるなどの場合を除き)、知能指数を得ることよりも、出力される様々な測定値や傾向から、受験者の知能の傾向を把握し、それを基によりよい生活が送れるような礎にすることにあります。仮に算出されたIQが低位であったとしても、その中で得意不得意があり、例えば得意なものを武器に出来るような生き方の模索もできますし、逆に弱点を補うような工夫を備えることもできます。

検査は、実施時間は、60分 ~ 95分、長い場合は2時間に及ぶこともあります。その検査内容については、特に受験を予定されている方は検査の結果に影響することが想定されるため、一般的に言えば知らないほうが良いかもしれません。検査は学校のテストなどとは異なり、「現在の能力」を測定するものなので、予習をしてよいIQの数値を得たとしても、その数値に意味はないのです。

結果は、単純な上記の言語性などの数値だけではなく、その下位項目(前述)の数値も知ることができ、受験した場所や医師によっては、その結果を踏まえて適切なアドバイスをくれる場合も多いでしょう。例えば、発達障害とよく言われるような方は、作動記憶の障害を保有する傾向にある人が多いため、それを補うような工夫をするなどのサジェッション(提案)がそれにあたります。