組織の命運を支配する「組織IQ」とは何か

人間にIQがあるのと同じく、組織にもIQがあります。その名も「組織IQ」。おそらく聞き慣れない言葉だと思いますので、以下解説します。

概要

まず前提として組織IQとは、その言葉の通り組織の知能指数(IQ:Intelligence Quotient)を表しています。そして組織にとっての知能指数とは「組織内外にある情報を取り入れ、組織内部で情報を共有し、実行可能な意思決定を行う能力」です。インプットしてアウトプットをする能力と言えば分かりがよいでしょうか。この組織IQでは、「外部から情報を受け取る仕組み」「知識を共有・再利用する仕組み」「迅速かつ適切な意思決定を行う仕組み」を評価します。

この組織IQという言葉は、スタンフォード大学ビジネススクールのヘイム・メンデルソンらの著書『スマート・カンパニー』によって、広く知られるようになりましたが、同書では「同じ事業環境で活動している企業を比較すると、『組織IQ』が高いほど成功していた」と結論付けられています。この指標は、決算の財務分析という企業の実力が通常測られる指標では、スピード感に劣るため開発されました

測定方法

組織IQは、組織の各階層や職能で15〜20名程度のメンバーに対して、以下の5つの組織特性に関する複数の質問を行い、その回答を総合して定量化します。

1. 外部情報における認識

組織の各部門が顧客や競合他社、技術動向などの必要な情報を認識しているか

2. 意思決定機構の構築

意思決定が適切な人物によって行われるように組織が設計され、その意思決定者に対して必要な知識や能力が配分されているか

3. 内部における知識流通

組織内で意思決定に必要な情報や知識を共有し、メンバーが業務知識や過去の失敗例などを学習できる環境が整っているか

4. 組織でのフォーカス

事業範囲や管理対象を限定することで、情報の氾濫や過度に複雑な意思決定プロセスを排除し、組織内の情報処理が最適化できているか

5. 継続的革新

事業遂行能力を継続的に改善していくために、組織内で新たなアイデアや知識を創出する仕組みやインセンティブが制度化されているか

組織IQの活用法

組織内で継続的にデータをとって時系列で比較したり、競合他社のデータを取得してベンチマークとすることによって、組織内の情報活用力の継続的改善に活用することなどが考えられます。

【参考】

1. 「組織と人材 | 経営を学ぶ~経営学・MBA・起業~」(https://keiei-manabu.com/humanresources)
2. 「独立行政法人経済産業研究所」(https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/cp/18.html)
3. 「個人IQ<組織IQの実現(学習する組織の構築)」(https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=16393)