「寝る子は育つ」と言いますが、実際に寝る子の方がIQが高いという研究成果が確認されています。例えば、「Short sleep duration is associated with poor performance on IQ measures in healthy school-age children」というそのものズバりな研究では以下の事実が明らかになっています。
- 7〜11歳の39人の健康な子供について、平日の睡眠時間を4夜連続で記録し、その後WISC-IV(IQテスト)によりIQを測定し、相関を調査
- 結果、同世代の参加者よりも(習慣的に)長い睡眠時間は、WISC-IVによって測定されたIQ等、及び高い学業成績と紐づいていることが明らかになった
- 結論は、睡眠不足または注意欠陥の証拠がない場合でも、睡眠時間は認知機能のいくつかの要素に関連しているという仮説が指示できるというもの
要すれば、眠くなくても寝ておけば高いIQ(や成績)を得ることができる、ということです。
そんな「眠くない子供を無理やり寝かしつけるなんて、睡眠の質という側面ではおかしいのではないか」と思われるかもしれませんが、これについても反例を挙げることができます。
「Sleep patterns in children of superior intelligence」という研究では、「睡眠の質は重要ではない」ということが明らかになっています。
- 優れた知的機能と睡眠中の生理学的パターンとの関係を調べるために、優れた(平均IQ:133.3)および平均(平均IQ:111.0)知能の男児(8〜12歳)について、5夜連続して睡眠を記録し、また知能指数も測定
- 結果は、優れたIQの子供たちの睡眠段階のパターンと量は、平均的なIQを持つ子供たちのものと「劇的には」異ならないことを示唆した
(優れたIQ被験者はTST、ステージ2、ステージ3、総NREM睡眠の量が多く、平均NREMサイクル長が長く、平均REM密度が低いという特徴はあった)
つまりは、睡眠の質は少し異なるけれど、平均的な子供と較べても対しては違わないということです。
一方で、面白い特徴が「Association Between Sleep Duration and Intelligence Scores in Healthy Children」という研究で明らかになっています。
- 非実験的条件下で7歳から11歳までの60人の健康な子供を対象に、睡眠行動と認知機能(IQテストによって把握)の関連を調査したところ、週末の睡眠時間と知能指数の間に負の関連性が明らかになった
- なお、中の眠気は、認知変数または睡眠変数とは関係がなかった
- 結論として、昼間の認知効率が高い(知能テストの結果が高い)子供は、夜間の効率が高い(睡眠時間が短い)と結論付けられる
まとめると、「とにかく子供は寝かせろ。しかし、週末は叩き起こせ」ということになりそうです。平日も休日も同じリズムで長い睡眠を与えよ、ということですね。
【参考】
1. 「Short sleep duration is associated with poor performance on IQ measures in healthy school-age children」(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20156702/)
2. 「Sleep patterns in children of superior intelligence」
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6630331/)3. 「Association Between Sleep Duration and Intelligence Scores in Healthy Children
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20604614/)