IQテストもパターンを覚えるなどの対策で攻略できる

本物のIQテストを受けたことがある人は珍しいはずです。そのようなテストは、例えばMENSA(メンサ)の入会テストや、あるいは精神科などで数時間拘束されて数万円の対価を支払って受けるもので、受験することはかなり珍しい体験の一つかと思います。

一方で、WEBや簡易的なIQテストならやってみたことがある人は多いと思います。WEBやアプリで簡単に出来る、以下のような図形テストが代表例です(左図の灰色の部分にあてはまるような図形を右側から選択します)。

Q1
Q2

上記のような問題はある一定の法則(ルール、パターン)に基づき作成されており、当然ある程度の訓練をこなせば容易に対応できるようになります。大学入学共通テスト(共通1次、センター試験)の数学のようなもので、あの問題はおそらく完全に初見ならとてもではないけれど、60分で全ての問題に解答することは難しいはずです。ですが、過去問を数年分とけばある程度の傾向は掴めて、人によっては(ある程度の学力があるならば)7割くらいの点数はとれるようになります。

「The induction of solution rules in Raven’s Progressive Matrices Test」という研究では、IQテストのような問題を解く際には、以前に解いた問題に利用されていたルールやパターンの記憶(あるいは知識)を、受験者は自然)再度利用することが明らかになっています。そして、それは当然テストのスコアに直結するでしょう。

また、「The effect of practice on Raven’s Advanced Progressive Matrices」という別の研究でも上記を裏付けることができます。この研究では、以下の事実が明らかになっています。

  • 26歳から79歳までの67人の参加者(男性39人と女性28人)に、あるIQテスト様の問題(レーヴン漸進行列:上記の図のような「穴埋め問題」)を3回実施したところ、3回にわたって大幅に増加した(1度のテストあたり約2つの正答が増加)
  • 被験者(受験者)は、以前のテストからは、間違っていた解答だけではなく、正しい解答と誤った解答の(場合によっては)両方を変更するという状況の中で、結果的にはテスト全体を見ればスコアが上昇。なお、未回答の項目の数は、得点向上との相関は薄い
  • 結果、パフォーマンスの改善は、より多くの問題に対応するための戦略設計の取得や問題に固有の情報の保持(記憶)に基づくのではなく、むしろテストの中で共通するものを見つけ出したということ、つまりは「練習」に依存する

要すれば、特に何も考え無くても同じような問題をひたすらに解いていけば(少なくとも一定程度は)IQテストのスコアは向上するということです。これは朗報ですね。

なお、MENSAの入会試験受験に「受検可能なのは、入会テストと証明書入会審査の「合計が3回」になるまでです。また、いずれの審査方法で不合格になった場合も、次回の入会審査(一般入会テスト・証明書入会問わず)を受けるまでには1年以上間を空ける必要があります」という規約があるのは、上記のせいで本来持っているIQが正しく測定できなくなることを危惧してということが想定できます。

【参考】

1. 「The induction of solution rules in Raven’s Progressive Matrices Test」(https://www.researchgate.net/publication/251432534_The_induction_of_solution_rules_in_Raven’s_Progressive_Matrices_Test)

2. 「The effect of practice on Raven’s Advanced Progressive Matrices」(https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1041608003000153)

3. 「JAPAN MENSA HP」
(https://mensa.jp/faq.html)