「二重Nバック課題」という魔法の手法でIQを底上げ

誰だって簡単に上げられるものならIQを上げてみたいものでしょう。それが自尊心を満たすためでも、あるいは上がったIQを仕事や学習に活かすためであったとしても。

しかし、なかなかどうしてIQを上げるというのは難しい作業です。そもそも、遺伝で大半が決まってしまうという説もありますし、また生まれ育った環境因子も大きく、自分でどうこう出来る余地を越えてしまっている、と思うかもしれません。

実はそれを解消する手立てが「二重Nバック課題」と呼ばれる手法です。

聞き慣れない言葉ですが、「Nバック課題」とは「順番に呈示された一連の刺激について、現在呈示されている刺激がN回前の刺激と同じかどうかを答えるもの」です。なお、この負荷因子Nによって課題の難易度を調節するため、通常Nは2から始めます。

例えば、聴覚の3バック課題では、以下のような数値の羅列を実験参加者に流します。

「1, 4, 3, 8, 7, 3, 8, 2, 9, 7, 6, 1, 7, 3, 5, 7……」

この場合、太字の部分(6番目の3、7番目の8、13番目の7、16番目の7)について回答者は指摘しなければなりません。なぜなら、「3つ前(=3バック)」に読まれた数値であるからです。

そして、これが「二重」になる際には、例えば文字と音声のように2つの独立した刺激が同時に呈示されます。実に単純な勉強法ですが、実際に効果がある例も見られています。例えば、外国では短期間で18 ptもIQのスコアを上げた方もいます。

また、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」などで有名な川島隆太教授も、その効能を主張しています。以下のYouTube講演にて必要であればご確認ください。

https://www.youtube.com/watch?v=sZryDOwypJ4&t=37s

一方で、批判もあります。例えば、これでは「記憶力しか鍛えられない」のではないかという批判。この批判に関しては、十分な科学的根拠をもった反論は難しいようです。サイエンス誌で「皮質のドーパミン受容体密度の変化が観察」という主張を持った研究成果が発表されたこともありますが、上記の命題に対して確固たる結論はまだ出されていないようです。

それでも、少なくとも記憶力が鍛えられることは間違いなく、それが知能指数全般の向上に繋がるかどうかはさておき(なお、知能指数の計測には一部記憶力を要求されることもあるため、確実に向上するとは言える)、脳の働きを良くするという意味では有用なのではないでしょうか。

【参考】

1. 「How To Add 2.75 IQ Points Per Hour of Training」

(https://daveasprey.com/how-to-add-2-75-iq-points-per-hour-of-training/)