「ニューロフィードバック」という魔法の手法でIQは向上。ただし値段はお高め

誰しも楽をして賢くなりたいという願望はあると思います。例えば、速読トレーニングの広告を見ることがあると思いますが、あれは「楽をして本をサクっと読んで知識を得たい」という人々の根源的な欲求にストレートに答える良い広告だと思います(効果のほどは眉唾なことも多いようですが)。

これはIQ(知能指数)の話でも言えることで、問題を大量に解くとか、DHA(ドコサヘキサエン酸)を大量に摂取するとか、その他トレーニングを積むなど、なかなか苦労をしなければIQは上がりません。しかし、手っ取り早く上げる方法が世の中にはあります。

それが、「ニューロフィードバック」と呼ばれる手法。これは「バイオフィードバック」と呼ばれる手法の一部で、簡単に表現すれば「頭に電極を付けて脳波の周波数(活動)を測定しつつ、機械で調整する」というものです。

さて、この方法は既に知能指数に良い影響を与えるということがまことしやかに噂されており、例えば「Neurofeedback combined with training in metacognitive strategies: effectiveness in students with ADD」という研究では、以下の結果が明らかになっています。

  • 注意欠陥障害の人々がニューロフィードバックとメタ認知戦略の指導を組み合わせた40セッションのトレーニングを受けた際に、IQが平均12上昇
  • 111人の被験者(98人は子供(5〜17歳)、13人は大人(18〜63歳))が、週に2回50分のセッションを40回実施。フィードバックは、徐波活動の減少(通常は4〜7 Hz、場合によっては9〜11 Hz)と高速波活動の増加(ほとんどの被験者では15〜18 Hz)。フィードバックが実現されている際に、学術的課題に関連するメタ認知戦略を教示
  • 結果、ADD症状(注意欠陥多動性障害に準ずるもの)の改善、及びウェクスラー知能検査のスコア向上(WAIS)、および学業成績の改善が見られた

はやい話が、頭に電極を付けてトレーニングをさせるとIQが上がったということです。まさに、言いことづくめであると言えるでしょう。これを見る限り、人類はみなやったほうがいいとまで言えそうです。

しかしこの方法、欠点がないとは言えません。上記の研究成果の前提として、「臨床研究は管理された科学的研究ではないため、有効な治療要素を決定することはできない」とあります。また、この研究はそもそも「注意欠陥多動性障害」の人を対象にした研究でしかありません。

またここが重要なのですが、お値段が結構お高め。購入なら5~10万円程度、出先での1回の施術も数万円かかることも珍しくありません。しかも、それを数十回実施する必要もあります。そこまでしてIQを上げるなら、もしかすると勉強を普通に頑張ったほうがよいかも?

【参考】

1. 「Neurofeedback combined with training in metacognitive strategies: effectiveness in students with ADD」
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10457815/)