新型コロナウイルスに感染するとIQが下がる

2019年末から猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、その罹患による影響は多く見られます。死亡はもちろんのこと、呼吸器への影響やその他併発する内臓疾患、うつ病などの心的障害……枚挙にいとまがありません。

そして当然、脳にも影響があると考えてもなんらおかしくはないのですが、それを実証する研究データがイギリスチームなどの研究で既に得られています。

インペリアル・カレッジ・ロンドン、ロンドン大学キングズ・カレッジ、ケンブリッジ大学、サウスハンプトン大学とシカゴ大学の研究者たちが参加した研究チームは、医学雑誌「ランセット」に「新型コロナウイルス感染により、論理的思考能力や問題解決能力が低下する可能性がある」と述べています。

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同研究チームは、イギリスで行われた認知能力テスト「グレート・ブリテン・インテリジェンス・テスト(GBIT)」に参加した人々のデータを検証し、新型コロナウイルスの感染歴がある人は、感染歴がない人に比べてIQに関するスコアが低かったと実証しました。具体的には、感染歴のある人は、論理的思考、問題解決、空間計画や目標検出などの検査で、感染歴がない人よりスコアが悪かったという結果が出ています。特に、重篤な症状を経験した人は結果が悪く、例えば人工呼吸器を使用していた人は、認知機能について大幅な低下を記録し、IQ換算で7ポイントの下落が認められたという結果を得ています。また、IQが8.5低下した記録もあり、脳年齢は最大10年老化していたケースもあったそうです。なお、重篤患者だけでなく、通院治療を受けた新型コロナ完治者もIQが4ほど低下し、脳年齢は5年ほど老化しているとの結果も得られています。

頭がぼうっとする「ブレインフォグ」という症状は、これまで数値的な裏付けとは別に広く認識されていました。そしてこれらの結果は、コロナ感染症に関する各種報告で指摘されていることと一致しています。このブレインフォグにより、集中力の低下などの実害があり、IQに影響すると考えるのが自然でしょう。

また研究者曰く、上記の影響は新型コロナウイルスのそのほかの症状がなくなった後も長期にわたって続く可能性があるともしています。

【参考】

1. 「UK Study Shows Link Between COVID and Drop in Reasoning Abilities, Problem Solving」
(https://www.newsweek.com/uk-study-shows-link-between-covid-drop-reasoning-abilities-problem-solving-1613762)
2. 「Cognitive deficits in people who have recovered from COVID-19 relative to controls: An N=84,285 online study」
(https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.10.20.20215863v1.full.pdf)