サボテンのIQが2というのは戯言なのか

2020年頃、ネットミーム(あるいは、パワーワード)として以下の文言が流行しました。

「射精する瞬間の男のIQが2の状態になるらしくて、IQ2って「サボテンと同じぐらいのレベル」って聞いて死ぬほど笑った」

実際のところ、この表現は「射精する瞬間の男のIQが2」及び「サボテンと同じくらい」というのは誤りの可能性が高いですが、「サボテンのIQが2」というのは一概には否定できません。

まず、IQ2というのはどのような状態でしょうか。その状態を定義することは難しいですが、IQが2というのは満足に日常生活を送れない状態を指すことが多いです。一般的な定義として、人間の場合知能というのは例えば以下の枠組みで評価されています。

50~69:軽度知的障害:身辺生活の処理可能、簡単な読み書き、計算がほぼ可能、言語及び簡単な文通可能、単純な作業が可能

35~49:中度知的障害:身辺生活の処理大体可能、簡単な読み書き・計算が部分的に可能、言語及び簡単な文通可能、単純な作業が可能

20~34:重度知的障害:身辺生活の処理が部分的に可能、簡単な読み書き・計算が部分的に可能、言語がやや可能、作業のうち簡単な手伝いや使いが可能

20未満:最重度知的障害:身辺生活の処理がほとんど不可能、読み書き・計算が不可能、言語がほとんど不可能、簡単な手伝いなどの作業不可能

上記を鑑みるに、一般的な知能を持つ人間が「言語」が不可能になるとは考えづらいです(人によっては複雑な思考は難しいかもしれませんが、呼びかけに答えるなどは通常可能と想定されます)。少なくとも、サボテンと同じくらいの呼応能力というのは、これも考えづらいでしょう。なお、前述の通りIQというのは医学的な論拠に用いられることもありますので、こういったジョークに気を悪くする人は一定数いると考えられます。ジョークの全てを否定はしませんが、気を使って用いるべきワードと想定するべきでしょう。

また参考までに、「IQ2」という人が(仮に存在するとして)その出現度合いも評価できます。IQというのは現在では標準偏差15の正規分布で表されますので、その場合は恒常的にIQ2以下の人間は割合として「0.000000003%」、つまりおよそ「340億人に一人」の確立でしか発生せず、「人類通算で2人」しか発生していないことになります。

さて一方で、サボテンのIQについては「サボテンのIQは0」あるいは「サボテンのIQは評価できないため、議論は無効」と思う人もいるかもしれません。しかし、これもある側面では否定できます。

花瓶に入った植物

中程度の精度で自動的に生成された説明

イギリスの植物学者が「植物は問題解決能力を備えている。」つまり、知能を持っているということを証明したという。

イギリスの科学月刊誌「FOCUS」によれば、植物は動物の攻撃を受けるなど危険を感じた際には知能を思わせる行動をとるということです。例えば、アカシアの木は不快な匂いのするタンニン酸を出し捕食されることを防ぎます。また、一旦捕食されたアカシアの木の葉からはある種の匂いが発散され、周囲のアカシアの木々はその匂いを察知(=化学物質を受け取り)し、次に攻撃者が来る前にタンニン酸を出して防御反応を取るそうです。

イギリスのエジンバラ大学の植物学者ドリー・ワーフス氏は、「動物に見られる賢明な行動が実は植物にも観察される。知能とは一般に問題解決能力と定義されるが、植物もこの能力を備えている」と説いています。曰く、寄生植物ネナシカズラを栄養状態の異なるサンザシの木に移したところ、ネナシカズラは栄養状態のよいサンザシの木に好んで絡みつき、栄養状態不良のサンザシの木を拒むという結果から、「どの宿主に寄生するか選ぶことができる」という意味で、ネナシカズラが問題解決能力を備えているとのこと。

つまり、植物は当然人間と同じく机を前にしてIQテストを解くことはできないが、一定の知能を有していると判断してもよいだろう、ということです。それが反射的行動であることは否めないかもしれませんが、それを含めて「知能」と解しても間違っているとは言えないでしょう。上記はアカシアやネナシカズラの例でしたが、同じ植物であるサボテンも同様の課題解決能力を持っている可能性は十分にあります(例えば、光走性があるなど)。

つまるところ、「射精時のIQは2よりは高く、その程度が植物と同じとは言えない。しかし、サボテン含む植物は一定の知能を持っている可能性がある」という結論が導きだせそうです。

【参考】

1. 「専門家が証明:植物は知能を有する」
(https://www.epochtimes.jp/jp/2007/07/html/d83103-p.html)
2. 「男は射精で快感を得た後、サボテンになる生き物 – Togetter」
(https://togetter.com/li/1425731)
3. 「知的障害は、その程度によってどのように分類されますか。」
(https://www.aiben.jp/about/katsudou/koureisya/img/03-Q-08.pdf)