漫画やアニメの設定で、「知能が高い」というキャラクターは珍しくありません。肉体能力や精神力、スタンドや背後霊など様々な能力を駆使して戦うフィクションの世界でも、知能の高さというものは一つの武器になるようです。
その知能の尺度は知能指数(IQ)で測ることが出来ると考えられています。しかし、一口にIQで測れると言っても、全員の条件を揃えて測定するというのは難しいものです。まずIQのテストというのは複数存在しますし、その中には信頼性に欠けるものもあります。また測定した年齢によって数値が大きく変わります(特に、小さい頃は神童的な数値が出がちです)。
一方で、漫画やアニメのキャラクターはとんでもない数値を叩き出します。なぜなら、フィクションだから。そのキャラクターたちは、おそらくIQテストを受けた上での測定値を自称(あるいは他称)しているのではないでしょう。本稿は、それがどれほど「ありえない」のかを解説します。
なお、その数値がいくらおかしな数値だからと言って、その物語やキャラクターが棄損されることは言えません。はっきり言ってIQが200あろうが1000あろうが、腕が伸びたり縮んだり、あるいは口から火を吐いたり、エネルギー弾を撃ったり、未来から来たり別の宇宙から来るよりは、よっぽど「あり得そう」なことなのですから……。
ちなみに、前提として「人類通算人口:1,090億人、現生人類数:77億人、標準偏差15」で算出しております。なお、「IQxx以上」と指す場合、それは当該IQ以上全てのIQが含まれていることを意味します(例えば、IQ150以上ならIQ150~∞の積算)。
また、計算の都合上IQ1000までを算出の単位としています。要すれば、人類は今までIQ1000より上の人間を生み出していない、という前提があるということです。IQ663の時点でその発生確率は「4.0×(10の-307乗)」つまり「マイナス無量大数の4乗よりも全然小さい」値であるため、IQ1000の発生確率を0としても全く問題ないでしょう。人類通算人口は「1.1×(10の11乗)」であることを考えると、その数値がどれほど「あり得ない」か分かっていただけると思います。
【150以上】
「IQ150以上」という数値は、人類通算「5,258万人」、現生「371万人」で、出現確率「0.05%」です。要すれば、「まあ珍しいけど結構いるかも」というラインです。このラインの主なキャラクターは以下。
150:美浜ちよ(あずまんが大王)
150:ヘンゲル将軍(天体戦士サンレッド)
ちよちゃんは「飛び級」のレベルなので、あり得るかなというラインですね。
【160以上】
「IQ160以上」という数値は、人類通算「396万人」、現生「28万人」で、出現確率「0.004%」です。要すれば、「3万人に一人」というラインです。まだあり得そうですね。このラインの主なキャラクターは以下。
160:安形惣司郎(SKETDANCE)
160:片桐安十郎(ジョジョの奇妙な冒険)
160:瀬戸健太郎(黒子のバスケ)
一介の高校生……まあ、将来は世の中を担う人になるのではないでしょうか。
【170以上】
「IQ170以上」という数値は、人類通算「19.5万人」、現生「14,000人」で、出現確率「0.0002%」です。要すれば、「50万人に一人」というラインです。まだギリギリあり得そうですね。このラインの主なキャラクターは以下。
170:キバヤシ(MMR)
179:キルノートン(うえきの法則)
キバヤシならそれくらいは……と思わなくもないです。彼らの個性の方が珍しいので、そういう意味では現実的かもしれません。
【180以上】
「IQ180以上」という数値は、人類通算「6,300人」、現生「443人」で、出現確率「0.000006%」です。要すれば、「日本に6人くらい」というラインです。あり得るあり得ないで言えば、完全にギリギリのライン。このラインの主なキャラクターは以下。
180:金田一一(金田一少年の事件簿)
180:デューク東郷(ゴルゴ13)
まあ確かに、何人か選ぶならこのメンツかな……という納得感はギリギリ。
【190以上】
「IQ190以上」という数値は、人類通算「131人」、現生「9人」で、出現確率「0.0000001%」です。要するもなにも、「世界に10人いない」というラインです。あり得るあり得ないで言えば、もうトンデモなくギリギリなライン。このラインの主なキャラクターは以下。
190:シャーロック・ホームズ(シャーロック・ホームズシリーズ)
190:高嶺清麿(金色のガッシュ!!)
192:ブルース・ウェイン(バットマン)
高嶺清麿が190というのは、他の2人と較べてどうなのか……ともやもやするかもしれませんが、200以上になるとそうも言ってられなくなります。
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【200以上】
「IQ200以上」という数値は、人類通算「2人」、現生「0人」で、出現確率「0.0000000016%」です。要すれば、「人類史上最高」というラインです。生半可なキャラクターではこの数値は出せないでしょう。フィクションとしてもダサくなってくるライン。このラインの主なキャラクターは以下。
200:デンジイエロー/黄山純(電子戦隊デンジマン)
200:奈良シカマル(NARUTO)
200:鷲巣巌(アカギ)
200:みみっち(たまごっち)
残念ながら全員名前負けです。みみっちに至っては、「算数・数学が大好きで負けず嫌い。努力家な面もある」とのこと。IQ負けしています。人類じゃないからいいのか?
【210以上】
「IQ210以上」という数値は、人類通算「0人」、現生「0人」で、出現確率「0.000000000014%」です。要すれば、「いない」ラインです。いない人間を出しちゃだめでしょう。ギャグマンガの敷居、と言えるラインです。このラインの主なキャラクターは以下。
210:アッシュ・リンクス(BANANAFISH)
219:斉木空助(斉木楠雄のΨ難)
240:ギレン・ザビ(機動戦士ガンダム)
アッシュはそれやるとギャグになっちゃうからダメでしょう。ギレンザビはスペースノイドだからOKなのか?
【300以上】
前提として、IQ300以上の人物は現実的には全くありえない数値です。ですが、フィクションですので存在は棄損されません。
一応出現確率を述べておくと、当然「IQ300以上」という数値は、人類通算「0人」、現生「0人」です。出現確率「0.00000000000000000000000000000000000001%」、大体「10の-39乗」つまりは「1000澗分の1」です。ちなみに、1兆は10の12乗ですので、もう全然あり得ない数値です。このラインの主なキャラクターは以下。
300:宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン)
300:如月ハニー(キューティーハニー)
300:紐緒結奈(ときめきメモリアル)
300:水野亜美/セーラーマーキュリー(美少女戦士セーラームーンシリーズ)
300:ルパン三世(ルパン三世
300:村上直樹(東京大学物語)
300:ムスカ(天空の城ラピュタ)
330:御坊茶魔(おぼっちゃまくん)
365:江戸川コナン/工藤新一(名探偵コナン)
400:怪盗キッド(まじっく快斗&名探偵コナン)
400:カーズ(ジョジョの奇妙な冒険)
賢そうなキャラクターが多いですが、全然ダメです。もっと賢くなければIQ300オーバーのワリに合いません。なぜなら、人類史上最高の知能でもなお及ばないのだから。
【500以上】
もう既に300の時点であり得ないのですが、最後に一応500以上のデータを提供します。
出現確率は当然人類通算「0人」、現生「0人」です。
出現確率は大体「10の-155乗」つまりは「1無量大数を二乗した分の1よりも全然小さい」です。主なキャラクターは以下。
550:ハジメちゃん(天才バカボン)
600:本郷猛/仮面ライダー1号(仮面ライダー)
800:写楽保介(三つ目がとおる)
特にコメントはありません。
他にも、フィクションの世界ではIQが高すぎるキャラクターは多く、1000以上というのも珍しくはありません。ここでもしフィクションの作者の方に言えることがあるとすれば、「IQ180」がギャグにならないギリギリのライン、ということだけです。これだけを覚えて創作活動に励んでいただければ。逆に言えば、それを越えた作品は、読者諸兄はある種「ギャグ」だと思ってフィクションを楽しむべきでしょう。を覚えておいて欲しいです。