マツコ会議に見る「高IQは変人」というメディアの誘導

マツコ会議というテレビ番組があります。マツコ・デラックスが司会を務めるトーク番組で、2015年から2021年現在も放送中の長寿番組です。MC・総合演出のマツコ・デラックスが番組スタッフと番組の企画編成会議を行うというコンセプトで、毎回ある話題になっている場所と中継をつなぎ、それについてマツコらがコメントし……という建て付け。

そのマツコ会議の2017年11月18日の放送で、高IQ集団MENSAが取り上げられました。その中では以下のような人物が登場しました。

  • (そもそも全員)スタジオの番組スタッフが誰も解けないクイズを、ほぼ全員が3秒で解いてしまう
  • 円周率を200ケタ記憶する男性
  • 文字に色が見える女性
  • 交際相手の行動パターンを記憶して浮気を見抜いてしまう男性
  • 会話の展開が途中で読めてしまうので、相手が話し終わるより先にリアクションが出てしまい上司に怒られる人
  • どんな食材を見てもインドカレーにできる女性

……感想としては、「高いIQの持ち主はこんな人ばかりではない」ということです。そりゃあそうでしょう。IQが高い人が上記のような妙な特徴を兼ね備えた人ばかりなわけがない。普通に考えれば分かる。もっと言えば、どのようなIQに限らず変わった側面を持つ人間はいるでしょうし、どんな人もそのような側面を持っています。それを「IQが高い人は変わっている」とくくってしまうような取材・編集をすることの是非はどうなんでしょうね。例え、取材されている側が良くても。

同様の事例は、「さんまの東大方程式」によく見られます。これも基本的に東大生を「変人」扱いすることで笑いをとっています。マツコの番組とは比較にならないほど、偏見を助長させており、その弊害については東洋経済の記事によくまとまっています。

(「東大生を見世物にしてあざ笑う」TV局の軽率)

これに比べると、マツコ・デラックスが最後に「どの分野であろうがIQ高くないとやっていけないよね」「相手の気持ちを汲み取ることが第一歩。その能力もIQなんだ」とコメントしていたのはポジティブな意見でしょう。これで〆のコメントが例えば「やっぱりIQが高い人に任せちゃだめね」みたいなものでしたら、偏見の助長になるところでした。

マツコ「そもそもIQって何?」謎の高IQ集団・MENSAのオフ会に潜入|マツコ会議|日本テレビ

(日本テレビHPより)

ちなみに、見ている人全員の感想だと思いますが、マツコ・デラックスが最後に「私よかった~IQ低くて」とコメントした件について。

あなた、IQ絶対高いでしょ!

(IQは上述の通りいろいろな言語能力や数的処理能力、記憶力などいろいろなパラメータが複合した結果の数値です。どう考えてもマツコ・デラックスは言語能力的なIQに優れていますよね)

【参考】

1. 「日本テレビHP」
(https://www.ntv.co.jp/matsukokaigi/) (https://www.ntv.co.jp/matsukokaigi/articles/6kzp29ohtx1zi17ik.html)

2. 「「東大生を見世物にしてあざ笑う」TV局の軽率」
(https://toyokeizai.net/articles/-/376471?page=3)