学習障害とIQの高低の関係性は薄い

学習障害という障害をご存じでしょうか。厚生労働省の定義では以下のようなものとなっております。

「学習障害(限局性学習症、LD)は、読み書き能力や計算力などの算数機能に関する、特異的な発達障害のひとつです。的確な診断・検査が必要で、一人ひとりの認知の特性に応じた対応法が求められます。ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などを伴う場合には、それらを考慮した配慮、学習支援も必要となり、家庭・学校・医療関係者の連携が欠かせません。」

「文部科学省HP」
(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/002.htm#:~:text=%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9A%84%E3%81%AB%E3%81%AF%E5%85%A8%E8%88%AC%E7%9A%84,%E3%82%92%E6%8C%87%E3%81%99%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82)

また、文部科学省の定義では以下のようになっています。

「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。」

「厚生労働省HP」
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html)
(https://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.html)

要すれば、「知的発達の遅れはないものの、健常者と比較して活動に(身体障害以外の)制限がある」ということですね。

その診断には、例えば代表的な学習障害である「発達性ディスレクシア」(小児期に生じる特異的な読み書き障害)には以下のようなプロセスがあります。

1. 最初に知的機能評価を行い、知能指数(IQ)が知的障害のレベルにないことを確認

2. 次に、ひらがな音読検査を行い、その流暢性や正確性を確認

3. 読みを支える側面について、音韻認識機能の検査を実施

上記からも分かるとおり、そもそも学習障害の場合は知的障害と完全に切り離されて考えるべきで、後天的な学習の難度が高いが故に年齢を経るごとに相対的にIQが低位になるということを除けば、知能指数との関連は薄いです。

実際、厚労省のマッピングにおいても以下のような区分になっています。

それぞれの障害の特性

実際、学習障害者にはIQが高そうな(少なくとも、低くはなさそうな)人物もいます。例えば、映画監督のスティーヴン・スピルバーグはディスレクシア(失読症もしくは難読症、学習障害の一種)でしたし、また俳優のトム・クルーズも幼い頃から学習障害(ディスレクシア:具体的にはbとdが区別できなかった)でした。しかし両者とも社会的には成功しています。特にトム・クルーズの場合は難読症であったため、台本は録音したものを利用して記憶するなどの工夫を実施して、この障害を乗り切っています。

【参考】

1. 「文部科学省HP」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/002.htm#:~:text=%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9A%84%E3%81%AB%E3%81%AF%E5%85%A8%E8%88%AC%E7%9A%84,%E3%82%92%E6%8C%87%E3%81%99%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82)
2. 「厚生労働省HP」
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html)(https://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.html)