大麻を使うとIQが下がるのであまり推奨はできない

各国あるいは各州、地域単位で大麻(マリファナ)が続々と解禁されています。タバコやアルコールよりも依存性は低く、また健康への影響も少ないというデータが揃ってきており、科学的見地に立脚すれば解禁も正しい(やむなし)という判断もあります。

しかし、こと知能指数(IQ)に関して言えば、大麻がIQの低下を招くというデータは既に存在します。「Persistent cannabis users show neuropsychological decline from childhood to midlife」という研究では、それが明らかになっています。

  • 10代のうちに大麻をやりすぎると、知能指数(IQ)や認知機能が低下する傾向がある
  • ニュージーランドで1,037人の被験者を0歳から38年間追跡調査した結果、10代ではじめその後も頻度高く続けた人はIQが約8ポイント低下。なお、大麻をやめても知能低下は回復しなかった
  • なお、IQ以外にも記憶、処理能力、実行機能など5つの特定の知的機能で大麻吸飲者はそうでない人に対して劣位。更にその家族や親戚に調査したところ注意力や記憶の問題があると理解していた(知られていた)

要すれば、若いうちから大麻を利用をした場合、脳に深刻なダメージが与えられ、それは不可逆であるということです。

実際にその脳への影響のメカニズムは、公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター曰く、以下のようになっているようです。

  • 大麻を吸引すると、ただちにTHC(精神作用物質であるテトラヒドロカンナビノール)が肺から血管へ吸収され、血液がTHCを脳やその他全身の器官に運搬
  • 我々の生体内にはTHC類似物質が存在しているが、この物質は正常な脳の発達や機能を調節する役割を担う
  • THCは脳内に存在するTHC類似物質が作用する受容体(=カンナビノイド受容体)に作用し、大麻はこれらの受容体を最も多く含む脳の各部分を過剰に反応させる
  • その結果、使用者は「高揚した」気分になる

しかし、タバコもアルコールもIQの低下を招く(あるいは、常用者のIQは低い)というような傾向やデータはありますので、大麻だけどうこうというワケではありませんが、いずれにせよ依存性が高い物質はIQの低下を招く傾向があるので、用法用量を守って正しくお使いください。

なお、上記の研究では、成人してから大麻吸引を始めた常習者には知力の低下はみられなかったという結論が得られています。研究者曰く、人間の脳は思春期に発達するため、10代から大麻吸引を始めると通常の発達過程が阻害され、回復不能なダメージが生じるのではないかとのこと。別に大麻を推奨するわけではないですが、ファクトとしてはこういうものもあるということです。

【参考】

1. 「Persistent cannabis users show neuropsychological decline from childhood to midlife」(https://www.pnas.org/content/109/40/E2657)

2. 「10代からの大麻常習で知能低下、回復不能の可能性も 米研究」
(https://www.afpbb.com/articles/-/2897819)

3. 公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター
(https://dapc.or.jp/kiso/22_cannabis.html)