日本において最も一般的な知能テストと言えばウェクスラー式知能検査(Wechsler)です。主に成人向けはWAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale、通称ウェイス)、児童用はWISC(Wechsler Intelligence Scale for Children、通称ウィスク)です。また、幼児用にはWPPSI(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence)という試験もあります。
(日本文化科学社HPより)
ウェクスラー式知能検査は、1938年刊行のウェクスラー・ベルビュー知能検査を起源とする、70年以上の歴史を持つ知能検査です。WAISとWISCいずれも専門家(臨床心理士)が受検者と1対1で行う個別式の検査です。
検査を行えるのは心理アセスメントに関する知識と経験を持つ専門家に限られており、関連分野の博士号や臨床心理士・特別支援教育士・学校心理士・臨床発達心理士の有資格者、医療関連国家資格所有者などの専門性の高い検査者が行うこととされています。受験を希望する場合は、下記の通りの要件を満たした上で適切な機関で実施可能です。
成人向け知能検査WAIS-Ⅳの概要
- 適用範囲: 16歳0カ月~90歳11カ月
- 受検条件: 公的病院の場合は医師の推薦が必要
- 実施時間: 60分 ~ 90分
- 結果が出るまでの時間: 1週間程度
- 実施機関: 医療機関(精神科)、大学の相談室、民間のカウンセリングルームなど
- 実施する人: 日本文化科学社の定める使用者レベルに適合する専門家
- 検査費用: 1,350円~2万程度(診療上必要だと認められた場合の検査は、保険内診療)
- 保険適用の可否: 保険適用あり
成人向け知能検査WAIS-Ⅳの特徴
全検査IQのほか、言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、ワーキングメモリー指標(WMI)、処理速度指標(PSI)という4つの指標得点を測ることができ、これにより知能を多面的に把握・解釈が可能できます。
- 全検査IQ:全体的な認知能力を表す項目で、下記4つの指標得点から算出
- 言語理解指標(VCI):言語による理解力・推理力・思考力に関する指標
- 知覚推理指標(PRI):視覚的な情報を把握し推理する力や、視覚的情報にあわせて体を動かす力に関する指標
- ワーキングメモリー指標(WMI):一時的に情報を記憶しながら処理する能力に関する指標。口頭での指示理解や、読み書き算数といった学習能力、集中力に影響
- 処理速度指標(PSI):情報を処理するスピードに関する指標
その各指標得点は、それぞれの下位検査は15の要素で構成されます。
- 言語理解指標(VCI)に関わる下位検査
– 基本検査:類似・単語・知識
– 補助検査:理解 - 知覚推理指標(PRI)に関わる下位検査
– 基本検査:積木模様・行列推理・パズル
– 補助検査:バランス(16~69歳のみ)・絵の完成 - ワーキングメモリー指標(WMI)に関わる下位検査
– 基本検査:数唱・算数
– 補助検査:語音整列(16~69歳のみ) - 処理速度指標(PSI)に関わる下位検査
– 基本検査:記号探し・符号
– 補助検査:絵の抹消(16~69歳のみ)
※補助検査を除く10の基本検査を実施することで、5つの合成得点(全検査IQ、4つの指標得点)を算出
【参考】
1. 「日本文化科学社HP」
(https://www.nichibun.co.jp/)2. 「WAIS・WISCとは?ウェクスラー式知能検査の特徴、種類、受診方法、活用方法のまとめ」
(https://h-navi.jp/column/article/725)