犯罪をしでかした人というと、どのようなイメージを持たれるでしょうか。ある人は、狡猾そうな詐欺師を思い浮かべるでしょう。例えば、漫画「デスノート」の夜神月なんかは、それに相当するでしょうね。日本でも、時々知能犯として捕えられた人がそういった「賢い犯罪者」的な扱いを受けることがあります。証券取引法違反で捕まった人はそういった類の人が多いのではないでしょうか。
またある人は、いわゆる暴力団のような、目つきが悪く口よりも先に手が出るようなタイプの人をイメージするかもしれません。もちろん、体のどこかには入れ墨が入っているような。
さて、実際には刑務所はそういった人もいますが、傾向としては「知能指数が低い人が多い」ということが明らかになっています。
上記は、日本の2012年の新受刑者の知能指数になります。
(データソースは法務省「平成24年 矯正統計年報」)
グラフの見方を簡単に記載しますと、縦軸が全新受刑者に占める割合(%)、横軸が知能指数になります。全ての人類(ないし日本人)で同様の統計をとると、簡単に言えば真ん中が100の正規分布になります。正規分布とは、正しい山型の統計です。これは、知能検査(テスト)というのは平均が100になるような正規分布を描くように設計してあるので、当然の帰結です。
翻って、上記のグラフを見るにまずボリュームゾーンが80~89の正規分布になります。要すれば、少なくとも受刑者の中央値は10以上世の中の平均より低い、言葉を選ばなければ「10 pt以上知能指数が低い集団」ということになります。
そして特徴的なのは、グラフの左側。右にいけばいくほどグラフは「知能指数が高い人」を示すようになり、左に行けば行くほど「知能指数が低い人」を示します。そして、明らかに左側の「知能指数が低い人」の割合が高い。
これが何を表しているのか。犯罪者には知的障害でなんらかの対処を得るべき人が刑務所に収容されてしまっているということです。これは由々しき事態と言え、識者は対応を模索していますが未だに答えが出ていないという状況です。
なお、グラフの右側に目を向けると120以上と飛びぬけた人もいるにはいる、ということが分かります。これは冒頭に紹介した所謂「知能犯」あるいはそれに準ずる人がここに相当するのでしょう。例えば、傾向としては国会議員は捕まればここに相当する知能指数の持ち主の人が多いのではないでしょうか。無論、現代日本の法制度上の善悪の判断がついていないので、賢いとは言えませんが。
【参考】
1. 「法務省 矯正統計」(http://www.moj.go.jp/housei/toukei/housei05_00010.html)